低緊張(筋緊張低下)とは?赤ちゃんの筋緊張低下の症状などは?
低緊張(筋緊張低下)とは?
低緊張とは、筋肉の張りが弱く、体を支える力が不足している状態のことを指します。専門的には「筋緊張低下症」と呼ばれ、姿勢保持が難しかったり、体がふにゃふにゃとした様子が見られます。筋肉の張りが弱いため、体の動きをコントロールすることが難しくなります。
低緊張の特徴や症状
乳児期
- 姿勢の特徴
- 座った状態から手を引き上げると頭が後方に倒れる
- 座るときに前に手を投げ出し、二つ折りの状態になる
- 四つん這いのときに頭を地面に下ろしたまま動かさない
- 関節の極端な柔らかさ
- 抱き上げたときに腕が抜けそうに感じる
- 座った状態から踵が耳に届くほど柔らかい
- 行動面の特徴
- 滑り台から降りられない、ジャンプが苦手、階段の上り下りに支えが必要
- 細かい作業が苦手、不器用さが目立つ
幼児期以降
- 授業中に同じ姿勢で座っていられない
- 絵を描くなどの細かい作業が苦手
- 体育の授業で他の子と同じ動きが難しい
- 疲れやすく、学校生活に支障が出る
心理面の影響:
体の不安定さや動かしにくさから、運動に対する不安感や動くこと自体を嫌がることがあります。体を安定させるために特定の筋肉に過剰な力が入り、疲れやすくなったり、筋肉のバランスが崩れることもあります。
低緊張の原因
1. 病気が原因ではない場合
筋緊張や筋力が単に弱いだけの場合、成長とともに改善することが多いです。
2. 疾患や障害による場合
以下の疾患や障害の一症状として現れることがあります。
- 染色体異常・遺伝子異常
- 先天性筋ジストロフィー: 骨格筋の壊死・再生の異常。呼吸機能低下や発達障害を伴う場合あり。
- 先天性ミオパチー: 骨格筋の構造異常。低緊張のほか、呼吸障害、発達の遅れなどが見られる。
- 先天性筋強直性ジストロフィー: 筋力低下や低緊張が見られ、軽度の場合は白内障や耐糖能異常が現れることも。
- ダウン症候群: 21番目の染色体が1本多いことが原因。筋緊張が低く、発達の遅れや心疾患を伴うことがある。
- プラダー・ウィリー症候群: 新生児期に低緊張が顕著。運動発達の遅れは徐々に解消されることが多い。
- 中枢神経系の障害
- 脳性麻痺: 出生前後に脳がダメージを受けることで発生。運動障害のほか、知的障害やてんかんを併発する場合あり。
- ASD(自閉スペクトラム症)・ADHD(注意欠如多動症): 発達障害の一部に、低緊張や運動機能の遅れが見られる場合がある。
まとめ
- 低緊張は、筋肉の張りが弱く体を支えるのが難しい状態で、乳児期から見られることが多いです。
- 症状としては、姿勢の維持が難しい、関節の柔らかさ、運動の不器用さ、疲れやすさなどが見られます。
- 原因は、単に筋力が弱い場合と、染色体異常や中枢神経系の障害などの疾患による場合があります。
- 対応策として、原因の特定が重要であり、専門的なアプローチ(リハビリテーションなど)が必要です。
注意: 低緊張が見られる場合は、原因となる疾患や障害の有無を確認するため、専門医の診断を受けることが推奨されます。