てんかんとは?
てんかんとは?
てんかんは、大脳の神経細胞が異常に興奮することで、意識を失う、体の一部が勝手に動く、急にぼんやりするなどの「発作」を引き起こす慢性的な脳の疾患です。
- 発作の種類: 大きく「部分発作」と「全般発作」に分類されます。
- 原因の分類: 「特発性」(明確な病変がない)と「症候性」(脳の病変が原因)に分かれます。
- 日本では約100万人が罹患しており、100人に1人の割合で発症しています。
てんかんの原因
- 大脳皮質の神経細胞が過剰に興奮することが原因。
- 神経細胞は微弱な電流で情報を伝達しますが、異常興奮により不必要な部分にまで影響が及ぶことで発作が発生します。
- 分類:
- 特発性てんかん: 発作を起こしやすい体質による。遺伝することがありますが、発症するかは個人差があります。
- 症候性てんかん: 脳の病変が原因。たとえば、脳損傷、脳腫瘍、脳炎など。
てんかんの主な症状: 発作の種類
- 大発作
- 強直発作: 全身がこわばる。
- 間代発作: 全身けいれん。
- 強直間代発作: こわばりからけいれんに移行する。
- 意識を失い、倒れることがある。
- 部分発作
- 単純部分発作: 意識は保たれたまま、体の一部がピクッと動く。
- 複雑部分発作: 意識がぼんやりし、動作が止まったり、意味のない行動をする。
- 全般発作
- 欠神発作: 短時間の意識消失。
- ミオクロニー発作: 両手足が一瞬ピクッと動く。
- 脱力発作: 急に力が抜けて倒れる。
- 自覚症状のみの発作
- 体性感覚発作: 体の一部がしびれる。
- 感覚発作: 視覚や聴覚に異常が起こる。
- 精神発作: 不安や恐怖感を強く感じる。
てんかんの分類
国際抗てんかん連盟(ILAE)の分類によると、以下の4つに分類されます。
- 特発性部分てんかん
- 脳に病変はなく、体質により部分発作が起こります。
- 幼児期から学童期に多く、成長とともに治ることが多い。
- 特発性全般てんかん
- 脳全体が過敏になり全般発作が起こります。
- 小児期から思春期に多く、薬物療法が効果的。
- 症候性部分てんかん
- 脳に病変があり部分発作を起こす。
- 年齢を問わず発症し、薬が効きにくいことも。
- 症候性全般てんかん
- 脳の病変により全般発作が起きます。
- 幼児期から思春期に発症することが多く、知的発達面への影響がある場合も。
日常生活での注意点
- 発作は場所や時間を選ばず発生するため、プールや車の運転中などは特に注意が必要。
- 発作を防ぐためには、定期的な服薬、十分な睡眠、ストレスの管理が推奨されます。
参考資料
- 公益社団法人 日本てんかん協会てんかんとは
- 久保田 英幹 『てんかん、こうしてなおそう』(クリエイツかもがわ, 2009)
- 中里 信和 『「てんかん」のことがよくわかる本』(講談社, 2015)
- 大槻 泰介 『てんかんが怖くなくなる本』(法研, 2016)