胎児のダウン症はいつ分かる?ダウン症の確率は?

胎児のダウン症はいつ分かる?ダウン症の確率は?
ダウン症(ダウン症候群)は、通常46本の染色体を持つヒトの21番目の染色体が3本あるために生じる状態です。ダウン症の赤ちゃんが生まれる確率は妊婦の年齢によって異なり、卵子や精子の分裂異常などが原因と考えられています。
ダウン症の確率
20歳:1/1,600
30歳:1/900
35歳:1/350
40歳:1/100
45歳以上:1/30 年齢が高くなるほど、ダウン症の赤ちゃんが生まれる確率が高くなります。ただし、若い年齢でも可能性はゼロではありません。
ダウン症が生じるメカニズム
ダウン症は、21番目の染色体が3本ある「21トリソミー」によって生じます。この状態は以下の3つのタイプに分類されます。
- 標準型21トリソミー型(約95%)
- 21番目の染色体が1本多く、47本の染色体を持つ状態。
- 受精時の偶然の分裂異常によって起こり、両親の染色体に変異はありません。
- モザイク型(1~3%以下)
- 21番トリソミーを持つ細胞と持たない細胞が混在している状態。
- 個々の細胞分裂の異常によって起こります。
- 転座型(約4~5%)
- 21番目の染色体の一部が他の染色体にくっつくことで生じます。
- 46本の染色体を持ちますが、21番目の遺伝情報が過剰に存在します。
- 親に転座染色体保因がある場合、遺伝によって起こることがあります。
ダウン症はいつ分かるのか?
胎児にダウン症があるかどうかは、妊娠中の検査によって確認できます。以下の検査方法が一般的です。
- 超音波(エコー)検査(妊娠10~15週頃)
- 項部(首の後ろ)の皮膚肥厚や四肢、顔の特徴を確認します。
- 確定診断ではなく、あくまで可能性を示唆するものです。
- クアトロ(母体血清マーカー)テスト
- 母体の血液中のホルモンやたんぱく質を調べ、胎児の染色体異常の可能性を予測します。
- 非確定的検査であり、確率的な結果が得られます。
- 新型出生前診断(NIPT)
- 母体の血液を検査して、胎児の染色体異常を調べます。
- 確実性は高いものの、非確定的検査です。
- 流産のリスクがなく、妊娠10週以降に行えます。
- 絨毛検査
- 妊娠11~14週頃に、胎盤になる前の組織を採取して検査します。
- 確定診断が可能ですが、流産のリスク(0.5~1%)があります。
- 羊水検査
- 妊娠15~18週頃に羊水を採取して検査します。
- 確定診断として99%以上の確実性があります。
- 流産リスクが0.3%ほどあります。
新出生前診断の増加と課題
近年、新型出生前診断(NIPT)を行う医療機関が増加しており、出産前の検査についてさまざまな意見が交わされています。
- メリット:
- 高い精度で胎児の染色体異常の可能性を確認できる。
- 流産のリスクがないため、母体への負担が少ない。
- 課題:
- 確定診断ではないため、陽性結果が出た場合には羊水検査などの確定診断が必要。
- 検査結果を受けての選択に倫理的な議論がある。
- 検査を受けることによる心理的な負担がある。
まとめ
ダウン症は、21番目の染色体が3本あるために生じる状態であり、妊娠中に検査で確認できます。年齢が高くなるほど確率は高くなりますが、どの年齢でも可能性はあります。
新出生前診断の普及により、早期にリスクを知ることが可能になりましたが、確定診断ではないため、結果を受けての対応には慎重さが求められます。また、検査に伴う心理的・倫理的な課題についても十分に考慮することが大切です。